アファメーションとの出会い、実践前の私
数年前までの私は、毎日がどこか色褪せて見えていました。
特に大きな不幸があったわけではありませんが、心の奥底にはぽっかりと穴が空いたような、満たされない感覚が常にありました。
「何かを変えなければ」という焦りはあるものの、具体的に何をどうすれば良いのか分からず、同じ日常の繰り返しに閉塞感を覚えていました。
自己肯定感も低く、新しいことに挑戦する前から「どうせ自分なんて」という声が頭の中で響き、一歩を踏み出せないでいました。
人と比較しては自分の欠点ばかりが目につき、他人の視線を過剰に気にする日々。
そんな時に、あるきっかけで「アファメーション」という言葉を知ったのです。
最初は「そんなことで何か変わるのかな」と半信半疑でした。
しかし、他に打つ手もないと思っていた私は、「試すだけ試してみよう」という軽い気持ちで、この実践に踏み出すことを決意しました。
アファメーション実践の始め方と最初の壁
まずは、アファメーションについて基本的なことを調べるところから始めました。
自分に合った言葉を見つけることが大切だという情報が多かったので、ノートに思いつく限りのポジティブな言葉を書き出してみました。
「私は愛されている」「私は価値のある人間だ」「私は幸せになる資格がある」など、最初は言い慣れない言葉ばかりで、照れくささを感じることもありました。
実践方法は、毎朝鏡の前で自分の目を見ながら、その言葉を声に出して唱えるというシンプルなもの。
初めの数日は、鏡に映る自分の顔を見ながら、心からそう信じられているとは到底思えず、ただお経のように棒読みしていました。
「こんなことをして、本当に意味があるのだろうか」と疑心暗鬼になることも少なくありませんでした。
三日坊主で終わってしまうかもしれないという不安もよぎりました。
それでも、「とにかく続けてみる」という自分との約束を守るため、毎朝5分だけでも時間を作ることを目標にしました。
最初の壁は、自分自身の「信じられない」という心の声でした。
しかし、その声に反論するのではなく、「今はそう感じているんだな」と受け止めながら、とにかく言葉を発し続けることにしたのです。
▼自分だけの言葉を見つけるまでの試行錯誤
書き出した言葉の中には、どうしてもしっくりこないものもありました。
他人が薦めるような立派な言葉よりも、もっと自分の心に響く、小さな言葉が必要なのかもしれないと感じ始めました。
そこで、自分が今一番欲しいと感じている気持ちや、克服したいと思っている癖に焦点を当てて、言葉を作り直してみることにしました。
例えば、「人と比較してしまう自分」に対しては、「私は私自身のペースで進んでいる」という言葉を。
「挑戦を恐れる自分」には、「失敗を恐れず、新しい経験を楽しむ」という言葉を。
少しずつ、自分の心の奥に刺さるような言葉が見つかっていく感覚がありました。
他人のためではなく、純粋に「今の自分」に必要な言葉。
それを見つけることが、アファメーションを自分のものにしていく上で、非常に重要なプロセスだったように思います。
ノートに書き出した言葉を何度も読み返し、心が「これだ」と反応する言葉をピックアップしていく作業は、自分と向き合う時間にもなりました。
実践を続けて感じ始めた、心の小さな変化
アファメーションを始めて一ヶ月ほど経った頃、少しずつですが、心の中に変化が訪れ始めたことに気づきました。
それは、劇的な出来事ではなく、まるで少しずつ色がついていく絵のような、とても穏やかな変化でした。
一番大きな変化は、自分自身に対する内なる声のトーンが変わったことです。
以前は「どうせ無理だ」「失敗したらどうしよう」というネガティブな自己対話が自動的に再生されていました。
しかし、アファメーションを続けるうちに、そのような声が聞こえてきた時に、「待って、今のは昔の癖だな」と客観的に捉えられるようになったのです。
そして、アファメーションで唱えているポジティブな言葉を、心の中でそっと上書きするようになりました。
これは、意識的な努力でしたが、繰り返すうちに、そのプロセスが少しずつスムーズになっていきました。
▼自己肯定感の芽生えと穏やかな気持ち
自分を責めることが減わり、少しだけ自分を許せるようになった気がします。
完璧でなくても、今の自分のままで良いのだという感覚が、ゆっくりと育っていきました。
これにより、精神的にかなり楽になったと感じています。
他人の評価が気になる気持ちはもちろん残っていますが、以前ほど自分を縛ることがなくなりました。
「人がどう思うか」よりも「自分がどうしたいか」を、少しだけ優先できるようになったのです。
この小さな心の変化が、日常の様々な場面で穏やかさをもたらしてくれました。
些細なことでイライラすることが減り、一日をより落ち着いて過ごせるようになったと感じています。
行動や人間関係に現れた、意外な変化
内面の変化は、当然ながら行動にも影響を及ぼしていきました。
以前ならためらっていたようなことに、少し勇気を出して挑戦してみようという気持ちが湧いてくるようになったのです。
例えば、仕事での新しいプロジェクトや、趣味のサークルへの参加など。
「失敗してもいいや、経験だ」と思えるようになったのは、自分にとって大きな進歩でした。
結果的に、それらの挑戦が良い方向に進んだこともあり、成功体験が自信をさらに循環させてくれたように感じます。
もちろん、すべてがうまくいったわけではありません。
しかし、うまくいかない経験をしても、「自分はダメだ」と落ち込むのではなく、「今回はうまくいかなかったけど、次に活かそう」と前向きに捉えられるようになりました。
▼周りとの関わり方が自然と変わっていった
自分自身に対して穏やかになれたことで、他人に対しても、より寛容になれた気がします。
人の欠点や間違いをすぐに指摘したり、批判したりすることが減りました。
相手の立場を理解しようとする余裕が生まれたのです。
その結果、人間関係が円滑になったと感じています。
周りの人からも、「最近、いつも穏やかだね」と言われることが増えました。
自分が変わると、見える世界も変わるのだと実感しました。
アファメーションは、直接的に他人を変える魔法ではありません。
しかし、自分の心のフィルターを変えることで、人との関わり方をポジティブに変えていく手助けをしてくれるのかもしれません。
実践における課題と乗り越えるためのヒント
アファメーションは、決して万能薬ではありません。
実践を続ける中で、多くの課題に直面しました。
特に、気分が乗らない日や、生活が忙しくて時間が取れない日には、続けること自体が大きな負担に感じることがありました。
また、しばらく実践しても「何も変わっていない」と感じてしまうスランプのような時期もありました。
そんな時に私が見つけたのは、「完璧を目指さない」ということの重要性です。
毎日欠かさずやらなければ、と気負いすぎると、それがストレスになってしまいます。
できなかった日があっても、「昨日は休んだけど、今日からまた始めよう」と、自分を責めずに再開することが大切だと学びました。
▼アファメーションを生活に溶け込ませる工夫
継続のコツは、アファメーションを生活のルーティンに組み込んでしまうことだと感じています。
朝の歯磨きをしながら、通勤中に車や電車の中で、寝る前にベッドに入りながらなど、自分が一番リラックスして、かつ忘れずにできる時間帯を見つけるのが良いでしょう。
私は、朝のコーヒーを飲む時間をアファメーションの時間に当てています。
香りの良いコーヒーを飲みながら、穏やかな気持ちで自分に語りかける時間は、今では私にとって大切な儀式になっています。
また、唱える言葉も、時々見直すことをお勧めします。
その時々の自分の心境に合わせて、言葉をアップデートしていくことで、新鮮さを保ち、心に響き続けることができるのだと思います。
現在の私と、これからのアファメーションとの向き合い方
アファメーションを始めて数年が経った今、それは私の生活にすっかり根付いたものになりました。
もはや「特別な何か」ではなく、毎日の食事や睡眠と同じように、心の健康を保つための大切な習慣です。
もちろん、今でもネガティブな感情が湧き上がることはあります。
人生には、辛いことや悲しいこと、思い通りにいかないことがつきものです。
しかし、以前のような「どん底に沈んでしまう」感覚からは、かなり解放されたと感じています。
辛い気持ちになった時でも、「大丈夫、この感情も自分の一部だよ」と受け止め、「私はこの状況を乗り越える力がある」と自分に優しく語りかけることができます。
アファメーションは、問題をなくしてくれる魔法ではありません。
しかし、困難な状況に直面した時に、自分を支え、前に進むための心の土台を作ってくれる、強力なツールだと感じています。
▼アファメーションは自分と対話する旅
今の私は、アファメーションを「自分を騙すためのテクニック」だとは思っていません。
それは、自分の内面と深く向き合い、本当の自分の声を聴くための、一種の瞑想のようなものだと捉えています。
毎日自分に語りかけることで、自分が本当に何を求め、何を恐れ、何によって幸せを感じるのかを、少しずつ理解できるようになってきました。
これからも、アファメーションという形で、自分自身と対話する旅を続けていきたいです。
人生のステージが変われば、必要な言葉も変わってくるでしょう。
その時々の自分に寄り添い、最適な言葉を見つけながら、これからも自分を大切に育てていきたいと思っています。
これからアファメーションを始める人へのメッセージ
もし、この記事を読んで「アファメーションを試してみたいかな」と少しでも思っていただけたなら、それはとても素敵な一歩だと思います。
そして、これから始めるあなたに、私からのメッセージがあります。
まずは、完璧を目指さないでください。
毎日、同じ時間に、同じ言葉を、心を込めて…なんてことを考えると、始める前から疲れてしまいます。
「今日は1分だけでもやってみよう」「鏡がなくても、心の中で唱えてみよう」など、自分が続けやすい形で全く問題ありません。
大切なのは、自分に優しくすることです。
「信じられないな」と感じる自分を責めないでください。
「効果がないかも」と思う自分を否定しないでください。
そのすべての感情も、今のあなたの素敵な一部です。
アファメーションは、競争ではありません。
他人と比べて、早く効果が出たかどうかなど、全く気にする必要はありません。
あなたのペースで、あなたのタイミングで、あなた自身の変化を楽しんでください。
きっと、ある日ふと、「昔の自分と比べると、少し変わったかもしれない」と感じる瞬間が訪れるはずです。
この実践が、あなたの心に小さな光を灯すきっかけになることを、心から願っています。
